大学ではコンピュータ理工学を専攻し、IT系業界で働くことも考えましたが、もう少し広い視野から将来を考えた時に、子供の頃からお金を貯めるのが好きだったことを思い出しました。調べてみると、金融業界でもITスキルを活かせるフィールドがあることが分かったので、福島でもっとも影響力の大きい東邦銀行のシステムに関わりたいと入行を決めました。

その後、若手時代の5年間は支店で銀行業務を経験しました。渉外担当としてさまざまな企業の社長さんとお話できたことが、とてもよい経験に。社長さま方から聞くお金を稼ぐ方法はビジネス書よりもずっと参考になり、とてもおもしろかったです。営業店時代は周囲からパソコン関連の使い方を聞かれることが多く、そういう面ではITスキルを活かせていたように感じます。

ただ、やはり将来的にはIT分野の仕事に携わりたいと思っていたので、入行6年目に営業統括部へ異動したことが私のキャリアの転機となりました。ここではインターネットバンキングや通帳アプリなどの東邦銀行のデジタルツールについてお客さまへの推進や営業店からの照会等の対応、また、ベンダーからデジタルサービスについての提案を受ける機会が多く、どうしたら東邦銀行にメリットをもたらせるのかを検討するなどの経験をしました。

これまでは各部門ごとに進めていたデジタル関連施策を統括し、東邦銀行全体としてのデジタル戦略を描き、DXを進めていく目的で立ち上がったのが、現在私が所属するデジタル戦略・業務改革部です。入行7年目だった私もスタートアップメンバーとして立ち上げに参加。支店で銀行業務を学んだことが、デジタル化の企画に役立ちました。その後すぐに外部研修としてT＆Iイノベーションセンターへ派遣してもらう機会に恵まれたのです。

ここは東邦銀行を含む10の地銀が加盟するTSUBASAアライアンスによるFinTechの専門機関です。加盟地銀の共通システム基盤を運用しているほか、新しい技術を導入するための調査・研究を行っています。私は主にセキュリティ分野の新技術の研究を担当し、各行のアプリにリスクベース認証を導入するための検討を行いました。それから、アラインアス加盟行のアプリのアジャイル開発におけるプロジェクトマネージャーも経験させていただきました。要件定義からリリースまで経験できたので、構築や仕組み、考え方など非常に勉強になりました。こうしてITの力を導入することで、お客様や行員の利便性をぐっと高められる。そんな仕事のやりがいを実感できたことは大きな収穫です。そのほか、外部の方々と接するなかで積極的に発言する姿勢も身につきました。

およそ2年半の外部研修期間を経て、2023年に東邦銀行のデジタル戦略・業務改革部へ帰任。現在は銀行全体のDX戦略に基づきデジタル関連施策の企画と導入支援を行っています。また、新技術を導入するための調査も担当しており、最近は生成AIやデジタル地域通貨等の検討を行っています。

そうした業務と並行して、行員のITリテラシー向上のための取り組みも行っています。ロジカルシンキングやデザイン思考などの教育プログラムを行員に受けてもらったり、ITに関する情報発信にも取り組んでいます。各部署のデジタル関連施策を支援するだけでなく、行員全体のITリテラシーを底上げしなければ、銀行としてのDXは実現できません。

だからこそシステムはもちろん、「人」に向き合う姿勢が何より重要。こうしてさまざまな角度から、東邦銀行の進化を支えていきたいと思います。